くらむ本

常にネタ切れ。たまに書く。

手を伸ばせば何でも届く、ヒーローのような存在に私はなれると信じていたあの頃

年齢が16や17だった頃。
私は、手を伸ばせば、何でも手に入る。何でも届くとそう信じていた。
そのことを疑わず、何の根拠も理由も無い、夢を友人達と語り笑い合っていた。
当時の私は、他の何物でもない特別な"ヒーロー"のような存在になりたかったのだと思う。

だがその考えは過ちであると言うことに、最近になってやっと気がついた。
手を伸ばせば、その伸ばせる範囲のモノしか手には届かないし、その届いたモノですら、必死になって掬い上げても、それはまるで液体のように手をすり抜けていくのだ。
その中でも絶対に守らなきゃいけないモノが存在していて、それを守るために、捨てなくてはいけないモノがあった。
そう言った"現実"と言うものを目の当たりにして、私は気がついてしまった。
私は"ヒーロー"のような特別な存在にはなれないのだと言う事に。
自分には限界があって、出来る事、出来ない事があるんだと、酷く痛感した。

"人生"とは、そんな取捨選択の繰り返しだ。
喜んで、悲しんで、楽しんで、苦しむ。
物事を自分と言う天秤にかけ、どちらが大事か選択して行かなければならない。

"楽しめる"から"悲しむ"ことができる。
"悲しめる"から"楽しむ"ことができる。
確かにそうなのかもしれない。
人間の感情というのは、そうして成り立っている。

だが、私はもう、そう言った取捨選択に疲れてしまった。
今の私にとっては、"喜び"も"悲しみ"も重荷にしかならないのだ。