くらむ本

常にネタ切れ。たまに書く。

【雑記】相模原事件から考えたこと




相模原事件からかれこれ2ヶ月弱が経ちました。
この事件は、19人という被害者を生んだ戦後最大の殺傷事件ですが、オリンピックなどのこともあって、あまり多くの報道がされていません。
外野である私がこの事件を調べてみて感じたことをここにまとめておきます。


◆犯人の抱いた思想はすごいわかるし、これはひとつの正義だと思う
何よりも見ていて思ったのが犯人の気持ちがすごいわかるんですよね。
実際に、私も過去に同じようなことを思ってブログに書きました(下記参照)
●【雑記】妄想社会
http://ch.nicovideo.jp/kuramubon/blomaga/ar824455

犯人が抱いていた優生思想って『資本主義社会における生産性』に着目したら生産性の低い人(老人や障害者)を省くような社会作りが必要だよね。という考えはすごくシンプルで分かりやすい思想だと思うんですよ。
サイコパスだとか言われるかもしれないけれど、決して間違った思想ではないと思う。


◆優生思想はよくない!とか言うけれど、みんなやってるじゃん
よく、この事件から、優生思想はよくない!とか命の尊厳ガーとか言う人いますけれど、じゃあ実際に今までの歴史を振り返ってみるとどうだったか?と考えてみた時に、みんな差別ってしてきたよね。

今でこそ、マシにはなってきていましたが、過去を振り返ってみると『障害者をいない者』として扱ってきた歴史があったり、障害者に対する『かわいそう』と言う差別意識を持った無自覚な善意を振りまく人が未だにいたりする。
みんな人のこと言えないと思うんですよ。私だってきっとどこかで無自覚のうちに差別をしているでしょう。

ですが、これは”考え方”と”捉え方”の問題なので、非常に線引きが難しい。この事件を通して、そういったところにもメスを入れ考えなくてはいけない時代なのでしょう。
拡大解釈すれば、民主主義なんて優生思想そのものじゃん!って思っちゃうんですよね。


◆人類全体の幸福とはなにか
人間種全体の幸福ということを考えてみたときに、現代社会の仕組み(資本主義)でそのような生産性の低い人間を抱え込むというのは一種の負担なんですよね。
医療技術や延命技術が発達し、少子高齢化の時代になってきた今、医療費などがあまりにも嵩み負担になってしまうのです。

命の尊厳だなんだ。というのも分かりますが、このままでは社会システム自体が破綻してしまう。そのため、社会システムと人間の種の存続を考え、これからの時代は『安楽死』や『死ぬ権利』と言ったものも認められていく必要があるのではないかと私は考えます。

そもそも、命の尊厳ガーとか言うのであれば、生きる権利ばかりではなく、死ぬ権利も与えられて当然だと思うんですよね。(下記参照)
●「生きていればいいことあるよ!」と言う言葉について
http://ch.nicovideo.jp/kuramubon/blomaga/ar525494

※個人の幸福と言うものを考えるのは不毛なので省きます。


◆だが、その先にあるのは管理社会だ
ですが、そのような行為ばかりが横行してしまうと、SF小説によくある管理社会(ディストピア)が出来上がってしまう。そのような行き過ぎた社会を作り上げることもまた問題であって、パレートの法則にしたがって、人間種全体の衰弱を招いてしまう未来は予測される。
そのため人を厳選するのであれば、相対的な評価で行うのではなく、絶対的な評価、条件を設け間引く人間を決めるような工夫が必要になってくる。

命の尊厳と、種の発展と存続。人間全体の幸福度をある程度の水準が確保できるような、バランスを保てるような折り合いをつける必要があるのだ。
まぁ、そんなの簡単にできたら誰も苦労しねーよ!って話なのだけれど。


◆今回の事件で一番残念だったのは”殺人”を犯してしまったこと
今回の事件で一番、私が残念だなぁと思ったのは、とても面白い思想だと思うのに、安直な殺人と言う行為に手を染めてしまったことですね。戦後最大の殺人事件。それだけで世間にインパクトを与え、問題提起にはなるではあろうけど、これでは誰も救われない。
社会に訴えかけるアプローチの仕方って言うのは、もっと色々あったと思うんですよね。

ただ、そこで勘違いしてはいけないのは、そんな殺人事件を起こしたからって犯人ばかりを攻撃して責め立てるのはちょっと違うよなーと思っています。同じことをしたヒトラーにしても、めちゃくちゃ悪い人だとは言い切れないと思うんですよね。歴史を振り返ると、周りの人間もヨイショヨイショしたり日和ってたりしてたじゃないですか。

だからみんなにも悪いところあったよねって見つめなおさないといけないと考えています。
そうやって他人を責め立てることも、この犯人が取った行動と一緒にで、ヘイトクライムとなんら変わらないですよ。だから、もっともっと、ここから考えないといけない。(下記参照)
●【雑記】イジメの背後にあるイジメ問題
http://ch.nicovideo.jp/kuramubon/blomaga/ar943783


◆色々な特集記事を読んで思ったこと
この事件に関して、色々な人が特集記事を書いていて読んでみて思ったのが、どれもこれも犯人のとった行動だとか、このような事件を起こさないための対策だとか、ミクロな視点のものが多く疲弊している人がいるかと思います。
ですが、私は社会システム全体ガーと言うのも分かるけれど、そこにいたるためのアプローチとして、こういった視点と言うのは絶対だと考えています。そもそも事件がおきてからまだ数ヶ月。社会システム全体とか云々を紐解くには、まだまだ長い時間が必要なんです。


◆これからの我々がとるべき行動を問う
そんなかんじで、雑に風呂敷を広げたので、雑にまとめましょう。今回の事件っていうのは本当に衝撃的で、色々な観点からアプローチをしなくてはならない問題であると考えます。

この事件を、個人の問題として捉えるのか?社会全体の問題として捉えるのか?
犯人の述べた言葉を、妄想と捉えるのか?思想と捉えるのか?
犯人の行動や精神状態を、クレイジーと捉えるのか?マッドと捉えるのか?

そして、さまざまなアプローチから我々が導き出した行動が正しいのか?正しくないのか?
それは、すぐに判断できるようなことじゃない。何十年か経った後、その時代の頭のいい人が、この時とった行動は正しかったよね。正しくなかったよね。と議論してくれるはずだ。

そのために我々が出来ることといえば、信念と勇気を持って一歩踏み出す。
悩み苦しみ考え、そして行動に移す。無力な我々には、それしかできないのである。


◆参考
・月刊『創』2016年10月号(【特集】相模原事件の衝撃)
我が闘争 上・下・続(角川文庫)
NHK放送「ホロコーストのリハーサル~障害者虐殺70年目の真実」
・介護職の最前線で戦う友人M氏との会話
・その他、インターネット上の特集記事


よければ以下記事もどうぞ
●【雑記】たった一つの冴えた生き方
http://ch.nicovideo.jp/kuramubon/blomaga/ar908795
●【雑記】SNSの投稿を引用するメディアに対して思う事
http://ch.nicovideo.jp/kuramubon/blomaga/ar962536
●【雑記】ネットは低所得者のおもちゃではなくなった?
http://ch.nicovideo.jp/kuramubon/blomaga/ar1002729
●【雑記】”生きる”ことの意味など無い
http://ch.nicovideo.jp/kuramubon/blomaga/ar634548


そんなかんじで。
おしまい。