くらむ本

常にネタ切れ。たまに書く。

【趣味/VTuber】VTuberの魂と卒業問題(上)

※※※このエントリは8月末に執筆したものです。状況は変わっているかもしれません。

お久しぶりです。くらむです。生きてます。はじめましての方は、はじめまして。
ここ数ヶ月、ずっとLINEとDiscordで何時間もVTuberの話をしているオタクですが、感じていることを整理するため、久々にエントリを書き起こそうとプレミア課金しました。
あと、ここ数ヶ月好意を抱いていた女の子に告白したら振られました。おっさん悲しい。
やっぱり、ぼくにはときのそらちゃんしかいなかった。ママーッ!!!!!!
さて、今回の表題をあげるとすればそう、、、「VTuberの”魂”と”卒業”問題」について話しましょう。


◆そもそも”Virtual”とは何か?
話を始める前に、まずは「Virtual」とはなにかというところから紐解きましょう。
辞書を引いてみると「実質上の」「仮想の」という言葉がヒットします。
VTuberの「Virtual」は後者の「仮想の」という意味で定義されているのでしょう。

また「日本バーチャルリアリティ学会」という観点からVRについて調べてみると「みかけや形は原型そのものではないが、本質的あるいは効果としては現実であり原物であること」と定義しています。

このあたりの言葉や、実際のVTuber文化を観測している私の肌感触から察するに「仮想の」という言葉で定義するよりかは、落合陽一さんが「デジタルネイチャー」として定説しているように「マテリアル(物質的)かそうでないか?」という言葉が一番しっくり来るように感じています。

万楽えねさんが述べた「VTuberって量子力学だよ」という言葉に収束してしまいますが、11月からVTuberを追っている古参オタクの意地に関わるので、駄文を紡いでいこうと思います。


VTuberの人気爆発
破竹の勢いでその数を増やしているVTuberその総数は4000人(2018/08月現在)を超えています。
ブームの火付け役、キーマン(?)となったのは間違いなく12月のねこます氏の行動でしょうが、その背後には、モーションキャプチャーの安価化(※1)と言った要因もあります。

そして、何よりも一番の要因だと感じているのは、YouTubeをベースとしたプラットフォームで、MMDなどのモデル作成者やpixivなどで活動している絵師さん、歌ってみたなどのニコ生勢といった発信者の繋がりだけではなく、一緒にコンテンツ(キャラクター)を作り上げるライヴ感(※2)が奇妙にも「VTuber」という一つのカタチになって統合され、発信者と視聴者が双方向なやり取りを可能としたことであると私は考えています。

※1:フェイスリグを使った2D環境で言えば3000円で用意ができる
※2:にじさんじ月ノ美兎さんなどの生放送が特に分かりやすい


◆炎上事件と月ノ美兎さん
まだ、まだ本題に入らねぇ。すまねぇ……すまねぇ……!
本題に入る前に2つの出来事を喋っておきます。

本題に入る前にフォーカスしないといけない出来事を考えてみると、思い浮かぶのは、近頃炎上したバーtyゲフンゲフン某企業のことでしょう。
どんなやべーことが起きたのか?簡単にまとめると、

「デビューさせたVTuberが売れなかったから、中の人を全員辞めさせて、
 同じガワを背負って別の中の人をあてがおうとした」

というようなやつですね。もうそりゃ大火災で有名になった糸魚川市も真っ青な大炎上。
※ググったら出てきますので、興味がある方は調べてみてね!

大人の事情云々はあれど、コンテンツを生み出す者として愛がない行為であったことは非難されて当然な事件でした。そして、事件の視聴者の反応が大変興味深いもので、今回の出来事を「魂ガチャ」とか囁かれているのが大変面白い出来事だと感じています。

もう一つ象徴的なのは、現在にじさんじで活動されている月ノ美兎さんでしょう。
私、超絶リスナーなので、大体の放送は全部チェックしているのですが、彼女がやっていることというのは「中の人の人生の切り売り」なんですね。(※1)
※彼女もそれはインタビュー記事などから自覚していることが伺えます。

彼女は確かにVTuberという新しい人格(※2)を得たキャラクター上のVirtualな存在であるはずなのに、その発言の生々しさから”中の人”と”月ノ美兎”という2つの存在がまるで同一のように感じられるのです。
彼女の生放送中に流れる生活音や紅茶を飲むと行った行動が「これが、VirtualYouTuberなんだよなぁ……」と視聴者に自然と受け入れられる奇妙な存在になっているんですね。


※1:陰キャを前に出したら面白かった現象(特にバ美肉周り)に通ずるモノ
   長くなるので気が向いたらそのへんまとめる
※2:この辺、アニメの「Serial experiments lain」とか見ると通ずるものがあって面白い
   時代がやっとlainに追いついた!!!!!!!!!!


VTuberの”魂”問題
さて、本題です。おまたせしました。

これら2つの出来事をまとめ、何に私が目をつけたのか?というと、
VTuberの”魂”としての視点を何処に置くのか?同一性、唯一性をどのように担保するのか?」という観点です。

前者、後者どちらの出来事を通してみても、今現在の視聴者の反応からすると「中の人=キャラクター」という図式が成り立つように感じています。

では、我々オタクたちが普段触れているアニメではどうでしょうか?
「俺、王国民だから○○ってアニメ見るわ!!!」とか「○○って人が絵書いてるから好き」
みたいな導線があり、少なくとも「中の人=キャラクター」という図式が逆説的に成り立たなくなるんですよね。
同じサブカルチャーという枠組みではあるが、明らかに文化が違う。違う反応が多々見受けられる。
もちろん、そこには視聴者との距離がアニメVTuberでは違い、爆発的なブームを巻き起こしはしましたが、アニメと言う長寿な文化と比較するにはあまりにも、その歴史が浅い。

この現象、私自身も不思議と実感していて、例えば”中の人”が変わったミライアカリさんが、ミライアカリさんと認識できるのか?と言われると、”これは別人だ”と認識するようになると思うんですよね。
そこには先程述べたようにVTuberはアニメより視聴者の距離が近いところにある。と言うように感じられていて、そのせいで、どうしても、「中の人=キャラクター」と同一視してしまう現象が不思議と発生しているのではないでしょうか。

そして「中の人=キャラクター」と言う図式で引いてしまうと、一番可愛そうなのは誰か?と考えてみると「キャラクターとしてデビューした中の人」なんですよね。

もう「月ノ美兎さんは月ノ美兎さんじゃん!」と言う論調を視聴者が補強をしてしまったら、VTuberをステップアップの場として活動をしている or していこうと思っている中の人が、自分の持っている本来の芸名がアニメなどのエンドロールに流せなくなってしまう。
個人で趣味で活動をしている人はともかく、何らかが一枚噛むことで、大人の事情で、使い捨てられる「中の人」が大量に出てきてしまわないか?と言うケースが増えそうで、そこが不安です。

何故ここまで「中の人=キャラクター」と言う図式が結びつく印象を視聴者に与えるのかと言うと、そのバックボーンには、中の人が取った行動(モーション)が映像上にキャプチャーされ、リアルタイムで反映がされる。あたかもディスプレイを通して「いのち」が吹き込まれた
一つの存在のように、見受けられるから(親近感が湧きやすい)なのではないかと感じています。

これはVR技術に限らず、テクノロジーの発展によって、よくSF小説とかで出てくる「人とアンドロイドの境界線は何処にあるのか?」と言う非常に哲学的なテーマを改めて考える象徴的な出来事だと思っています。

長々と話してきましたが、今回出したこの問題のアンサーは何か?と言われると、VTuberがあまりにも爆発的に人数に増え、文化形成から発展する時の流れが早すぎ、VTuber達が各々紡いでいるコンテンツのカタチ、そもそもVTuberと言う定義がひどく曖昧である。
と言ったところから、肌感触でもしっくりくるアンサーはまだ私は得ていません。ここまで書いておきながら、これですよ。ひどいですね。これだからオタクは。

ただ、この大きなブームのうねりの中から、いずれその答えを示してくれるであろうことは、確かでしょう。

また、PS4で現在発売している『Detroit: Become Human』とかも同じテーマです。
めちゃくちゃ面白いんで、興味ある人はぜひプレイしてみてください。
あと、今話題のドイツ哲学者マルクル・ガブリエルの「なぜ世界は存在しないのか」を読んでいます。
この辺の考え方もVTuberに当てはまるなーって感じていて、めちゃくちゃ面白いです。

さて、早口でここまで進めてきましたが、長くなったので一度一区切り。次回に続きます。





▼▼▼名前を出したお方のチャンネルLINK(敬称略)▼▼▼
●ときのそら
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●万楽えね
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月ノ美兎
https://www.youtube.com/channel/UCD-miitqNY3nyukJ4Fnf4_A
●ミライアカリ
https://www.youtube.com/user/bittranslate
●ねこます
https://www.youtube.com/channel/UCt8tmsv8kL9Nc1sxvCo9j4Q