くらむ本

常にネタ切れ。たまに書く。

【趣味/映画】おとぎ話みたい見た感想とか



ツ●ヤでレンタルされていて、なんとなく手に取った一作でしたが、めちゃくちゃ素晴らしくて衝撃をうけて、ここ数週間の間に3回も見直してしまい、その力強さに圧倒されました。
とても、1時間に満たない時間でまとめられた作品とは思えない重厚感があります。あまりにも美しい。まるで人間賛歌を奏でているかのような、そんな映画でした。


◆心地のよいテンポで刻まれる"モノローグ"
映画を作る上でのモノローグと言うのは補足的に使われるもので、映画って言うのは、映像で魅せるものだよね。って思っていたんですけれど、その観念がこの映画を見てガラッと変わりました。

ここまで抽象的かつ文学的に主人公の内面を彩る為に使われた、言葉の嵐。そこには、好きな音楽を聞いているかのような心地よさと、自分の心の奥底にしまった誰にも見られたくない部分を鋭い刃物で無造作にえぐり出されるかのような、生々しさの2つをはらんでいた。

呼吸を忘れてしまいそうになるくらいに、この映画の魅せ方に衝撃を受けました。
逆に、そのようなモノが苦手と言う人にはあまり響かない映画でもあるかなと思っています。

私は初めてこの監督さんの映画を見たのですけれど、山戸監督さんは"言葉の持つ力"と言うものを信じていて、映画と言うのは、映像だけではなく登場人物たちの台詞や様々な要素によって作り上げられているよね。と言うような強い信念を持っている人なんじゃないか。とこの映画を通してと感じました。


◆そして"少女"は一歩踏み出した
特徴はやっぱりそのモノローグの使い方だったと思うんですけれど、”物語”も非常に素晴らしい仕上がりだったと感じています。

田舎町で育ち、都会でバレエダンサーになることを夢見ている女子高生が、学校で出会った知的な先生に恋をして、その行き場の無い感情を抱えながら、ダンスを続けそして一歩、踏み出す。そういったきらびやかな一面も持ちながら、少女が歩みだした瞬間、先生は自分のよき理解者ではなくなった。と言うような世界の残酷さを内包しており、とても一言で表現できるような作品ではない重さを感じました。よくこんな短い時間にまとめられたなぁと脱帽です。



◆”暴力的な美しさ”を感じる映画
なによりも本当に美しいんですよね。そんな語彙力のない感想しか出てこなくて、でもこの映画を語るには、もうその言葉で十分じゃないかと思ってしまうほどに力のある作品です。

あまりにも"暴力的な美しさ"を目にした時、その前では人は無力であり、それを語ることなんて到底できるようなものじゃない。
私にできるのは稚拙で感情的な駄文をただ書き綴ることしかできないのだと、そのどうしようもない無力感を感じて映画を見て一度泣いたのに、また泣きました。


この映画は、まるで "おとぎ話みたい" だ。





同監督が手がけている「5つ数えれば君の夢」も見ないといけませんね。


そんなかんじで。
おしまい。